COMMENT

現代社会の変容とともに、家族観も変化するのは必然です。
旧来の伝統的な家族観はもはや参考にならず、私たちは、家族の新しいあり方を模索しなければならない瀬戸際に立たされています。
新しい子供たちは何を道しるべに成長すればよいのか。
また新しい大人である私たちは、子供たちにどんな姿を見せ、何を手渡してあげられるのか。
この映画を通して共に考えていけたらと思っています。
『バケモノの子』は、ひとりぼっちの不幸な少年が、強いけれど身勝手な独り身のバケモノと出会い、修行や戦いを経験するうちに、いつしか本当の親子にも負けない強い絆を得る物語です。

子供たちには、バケモノとの修行と冒険が、心躍るおとぎ話になるように。
若者たちには、「自分は何者であるか」という彼らの時期の切実な問題に、寄り添い励ましてあげられるように。
そして大人たちにとっては、少年とバケモノの唯一無二の絆を通じ、大きな充実感と幸福感が得られるように。
エンターテインメントの作法に則り、あらゆる世代が楽しめる清々しい映画を目指します。

アニメーション映画監督 細田 守